イザという時のために考えておくこと
トップページ > イザという時のために考えておくこと

イザという時のために考えておくこと

2017年05月12日(金)6:54 午後

近年の獣医療について思う事、イザという時のために考えておくこと

 近年、上質なペットフードや予防管理など飼育環境の向上にともなって、人と同様に動物の平均寿命も延びています。長寿になる事は大変喜ばしいことですが、加齢と共に様々な病気などが発生することも事実です。
 例えば、人の死亡原因でガンが1位とか言われていますが、例外はあるものの長生きしてれば発生リスクが高まるのは当たり前だと、私は考えております。
 動物でも同様の考え方で概ね間違っていないでしょう。
 また、様々な情報が簡単に入手できる時代であるがゆえ、情報に振り回されてしまった経験をお持ちの方も多いと思います。
 そういうことのないように、「考えておく」ことが大切なのです。

 さて、本題に入ります。
 自分の飼っている動物が病気になってしまった時のことを考えてみましょう。

 かかりつけの病院で診察を受けました。
 診察の結果、そこでは確定診断を下す、あるいは治療が困難であるとの見解がだされました。
 ちょっと、厄介な病気の可能性が考えられます。

 この時に「どうするのか、どうしたいのか」ということを考えます。
 選択肢は大きく分け3つあると思います。

○高度な設備や、専門医の在籍する病院において検査や治療を受ける
 メリット:ほぼ確実に診断が下り、治療方針も明確になる。
 デメリット:検査や治療の内容によっては、高額な費用がかかることもある。
 
○自分で調べて、他の病院で診察を受ける
 メリット:他の獣医の診察により、別の診断や治療方針が提案されることもある。
 デメリット:特になし

○かかりつけ医の病院で、できる範囲の検査や治療を受ける
 メリット:相談や質問もしやすく、その病気以外のことでも考慮してもらえる。
 デメリット:診断や治療方針が明確になっていない(いわゆるグレーゾーン)ため、治療がう   まくいっている時は良いが、再発したり、状態が悪化した時に、治療が行き詰ってしまうこともある。また、考えられる治療を行っても良くならないこともある。


    イザという時のために、日頃から考えておくべきこととは・・・

何かが起こったときに「どうするのか、どうしたいのか」を家族で話し合っておく。
 積極的に行うのか、できる範囲で行うのかなど。ご家族の間で意見が分かれてしまうのは最悪です。

検査や治療に対して、どの程度の費用をかけることができるのか。


 
動物は自分で決断することができません。その時は、飼い主さんが決断するしかないのです。「ベスト」といわれる治療には、時間の制約や費用の問題が発生することを、ある程度は覚悟しておかなければなりません。
     私の考える「いわゆるベスト」とは

○少しの無理は仕方ありませんが、その都度、仕事を休まなければならない、様々な事情で時間の制約がある、動物が投薬や治療をすごく嫌がるなど、非常に無理があると思われる治療は選択しない。

○治療費においては、日常生活に支障を来たすほどの無理はしない。
   特に、長期にわたる治療が必要な場合は、獣医に相談をするべきです。

○たとえ、その治療が「ベスト」と言われるものでなかったとしても、獣医とよく話し合い、納得した上で、動物にも、飼い主さんにもストレスの少ない治療を行うことができたなら、
 それが「いわゆるベスト」だと私は考えます。


 考えたくない事かもしれませんが、いつかは最期を迎えます。
送り出した後、いつまでも悲しみに暮れてしまい、楽しい思い出が蘇らない。
そういう心境は「ああしてあげられなかった、こうすればよかった」など
そんな、後悔の念が良い思い出に変えることを妨げているのではないでしょうか。
「そういう時はいつか来るんだ」という現実を受け止め、「自分なりのベスト」を尽くしてあげることを考えておくことが大切ではないでしょうか。

おわりに
 当院も現在の地に移転してから21年が経ちました。私も獣医になって26年が経ちました。
 今回の投稿は、ここ数年、気になっていたことを表現したものです。

 「こうしてあげたい、ああしてあげたい」との強い思いから、様々な情報に振り回されてしまい、無理をした挙句、治療の継続が困難となり、良い結末を迎えられなかったなど、話を挙げればキリがありません。
 そんな時は「こんな情報を見たんだけど」と獣医に相談してください。

 獣医業界を見れば、獣医療の進歩には目を見張るものがありますが、その反面、治療内容や費用などにまつわる問題も多くなったと感じております。
 先進的な獣医療を否定しているわけではありません。かといって、今までのやり方だけで良いと言っているわけでもありません。
  いわゆる「温故知新」の考え方が大切ではないかということです。
 私が、従来~最先端に至るまでの情報を整理し、検査や治療のプランを提示する。そして飼い主さんに選択していただく。その時、「考えておいたこと」が役に立つのです。


 私自身、飼っていた大型犬(平均寿命10年)が、10歳を迎えたときから「おまけの人生」だと割り切った考え方をすることにしました。
 無理して何かをしたわけではありませんが、傍に来たときに頭をなでたり、ちょっとしたスキンシップを大切にしました。
 獣医でありながら、もしもガンなどが見つかっても無理な治療はしないと決めていました。それは、一緒に生活していて「コイツは根性がないから、ヘビーな治療は無理だな」と飼い主として獣医としての目で見て至った結論です。
 「快適な日常を送って欲しい」、そんな思いから免疫力をアップするサプリや、関節痛を緩和するサプリなどは与え続けました。
 お陰で14年11ヶ月間、楽しませてもらいました(サプリが良かったのかは分かりませんが)。
 最期は傍についていたのですが、10分ほど離れた間に亡くなっていました。そのことはチョット心残りでしたが、自分にできる事を精一杯してあげたので悔いはありません。


動物は飼い主をいつも見ています。
悲しんだり、怒ったり、悩んだり、マイナスな感情は動物にもストレスを与えます。
彼らはストレスを与える相手には寄付こうとはしません。
「どうしたいのか、どうするのか」 少し、考えてみたらいかがでしょうか

 



«   |   »

過去の記事


森田動物病院
モバイルサイト